先日、小学生の普通コース(中学受験しないクラス)の理科の時間に、消化と吸収の話になった。
そこからさらに胃潰瘍の話になって、さらにその流れでピロリ菌の話になった。
受験理科では既にHOTな話題とはいえないけど、公立小学校の理科でピロリ菌の話は詳しくやらんだろうということで、胃粘膜の機構などの話と絡めつつちょっと詳しく説明してみた。
ピロリ菌について*
本名はヘリコバクター・ピロリ
発見者はJ. Robin Warren先生とBarry J. Marshall先生
胃粘膜上の強酸性(PH1〜2)環境†でもウレアーゼなる酵素によってしぶとく生きる
(ウレアーゼを使いアンモニア(アルカリ性)を生成。そいつで自分の周りの胃酸だけを中和)
発見当時は「強酸下で感染出来る生物なんているわけがない」と眉ツバ扱いされたが、発見者自らがピロリ菌を摂取(自飲)して、見事に急性胃炎発症。裏付けの一つとなった。
発見者は2005年、ノーベル生理学・医学賞を受賞
にしてもすごい執念だねピロリは
そこまでして感染したいのか と。
エクメーネ**は全地上の88%らしいけど
生物の生存圏は地球の何%なのだろうか・・・?
強酸性中にも生物がいるんだから、もしかしたら溶岩の中とか、電離層なんかにも未確認の生物がいるかもしれない。。
さて、ここでひとつ気になることがあります。
マーシャル先生らはピロリ菌は1980年代には発見しています。
で、ノーベル賞をとったのが2005年です。
記憶に新しい田中耕一さんのノーベル化学賞受賞は2002年でしたがその受賞理由の「タンパク質のイオン化」に初めて成功したのは1980年代です。
ノーベル賞って直ぐにもらえるわけじゃないんですよね。
その発見が本当に正しいのかはもちろん、その後その発見が常識となって十分浸透して、さらに、
「今思えば、あの発見がなかったらこの分野は生まれてすらこなかったよなぁ〜」
っていうくらいになって初めて選考候補に挙がります。
すぐにノーベル賞あげて
「すんません、それ間違った発見でした…」
じゃシャレにならないですからね。
大発見ってだいたい最初は異端扱いを受けるわけです。
パラダイムシフトっていうのは今までの常識が覆ることですから、その発見がそれまでの常識の範囲で理解できるならそれは単なる発展であって転換とは呼べないですから。
だからものすごいエネルギーがいるんですよね。
まず新発見すること自体にエネルギーを使い、さらに、既存の常識を打ち破らないといけない。ものすごい徒労ですよこれは。
ここから強引に勉強の話に持っていこうかなと…
それまで勉強をまったくやってこなくて成績が酷いことになってる子供にただ「勉強しろ」ってのはあまり効果がないと思うんです。その子にとっては"勉強する"という概念がないわけですから、いわば勉強することが非常識になってるわけです。今まで勉強をしてる子にさらに勉強するようにするのとわけが違います。
その子にとってはまさにパラダイムシフトが必要なわけです。ものすごく労力使うはずです。
そう考えると自分で勉強できる子は、次のどちらかに当てはまると思います。
1.以前に自分の中でパラダイムシフトが起きた
2.日々少しづつ自分の中でシフトが起き続けている
自分でどんどん勉強できて、そんでグイグイ伸びていく子ってたぶん後者にあたるんではないかなと思うんです。日々自分を変化させてる。毎日少しづつだから一回分にはそんなエネルギーを使わない。
夏休み前に「高校受験だから」といって
勉強しない体⇒勉強する体
にしようとしても、なかなかうまくいかないのは、そこでドカッと一気に変えようとしてるからです。
よく部活を理由に勉強に向かおうとしない奴(「だって部活だからしょうがないじゃん」っていうようなことを言う奴)がいますが、そういう子ってだいたい部活引退しても勉強しないですよね。
部活を言い訳にして成績が伸びない子でも、少ない時間を何とか工夫してやり繰りしたり、自分なりに努力したけどここがダメだったとしっかり分析できてる子、とにかく自分を変えようとしてる子(実際変わってなくてもいいんです。そうじゃなくて、変えようとしてるってことです)は部活引退したらスッと受験勉強に入っていけるわけです。
実は私も偉そうなことは言えないんですよね。
中学2年までは本当にひどかった。ぐーたらぐーたら。部活すらやってない。やってたことはファミコンと中国文化に触れること(牌と点棒つかうあれです)ぐらいです。もう本当にダメダメでした。
高校入試を機に「人並みに勉強しよう」ってなったんですが、まぁしんどい。とにかくきつくて苦しくてもうあんな経験は二度と御免です。
でもそれからは勉強ってそんな辛いものじゃないくなったんです。高校の成績もまぁまぁの所をキープ出来てましたし。
今の中学校は本当に勉強する土壌がないから、一気に自分を変えようと思っても「あんな経験は二度と御免」程度ではすまないと思います。
そう考えると一度も "知ることの楽しみ" っていうのか "勉学を修める快感" みたいなものを経験しない人がたくさん生まれるってのもさみしいものです。
†胃の環境
胃酸は強塩酸です。アルミとか亜鉛とか簡単に溶けてしまうくらいの強酸です。食物の殺菌、防腐のために酸性にしちゃいます。
胃酸が分泌されるとき、絶妙のタイミングで胃粘膜も同時に分泌されるため胃自体が消化されることはありません。
超強力なタンパク質分解酵素(ペプシン)は強酸性でないと働かないようにできてます。
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